最近歩いている湖西地方でもギフチョウを探してみた。場所は滋賀県高島市。過去に記録のある場所だが、近年の湖西はギフの情報がほとんどなく、多くの産地で減っていると思われる(杉植林の成長とシカ害が原因ではないかと思う)。そのため探索するにもまず、確実に記録のある場所の周辺から始めてみた。
早朝の雑木林。ここはシイタケ栽培のホダ木をとるために定期的に手入れがされており、里山から消えてしまった薪炭林のような景観が広がる。構成樹種はコナラ、クヌギ、ナラガシワ。林床ではカタクリが朝露に濡れていた。奥はイカリソウ。
さて、天気予報は昨日の時点では「晴れ」だったのにほとんどの時間曇っている。仕方ないので食草のチェック。すぐにミヤコアオイの新葉が見つかった。
湖西から京都東山の個体群はミヤコアオイ食いだと聞いていたが、京都の個体群はほぼ絶滅しているし、ミヤコ食い個体群はもう見ることもないかと思っていた。ここで発生していれば数少ないミヤコ食い個体群の生き残りである。しかし卵は見つからない。カタクリの傷み具合やミヤコアオイの成長ぶりからいえば発生のピークを過ぎた頃なのだが。ここもいなくなってしまったのか。
結局、目的のチョウが出てくることはなかった。暇つぶしにナラガシワの新芽を見たら、孵化したと思われるゼフィルスの卵殻が見つかった。この芽の中の幼虫が大きくなれば種類も特定できる。
副産物がもう一つ。ミヤマセセリが蛾のようにとまっているのを撮影した。撮影時刻は8時44分である。
薄日に反応して翅を開いたが、陽がかくれるとすぐに翅をしまった。
2011.04.29滋賀県高島市
2011.05.02追記
ゼフィルスの正体はウラジロミドリシジミでした。2齢幼虫になり芽から姿を現しました。付近から記録はあるし、ナラガシワから採ったから当然といえば当然です。