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京都のネブトクワガタ

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左:亀岡市産、右:京都市産

ネブトクワガタは好きなクワガタの一つである。最大でも3センチそこそこなのに非常にかっこいい。かっこ良さなら、一番だと思っている。

子供の頃から近所でクワガタは採れたが、ネブトは一度しか採ったことがなかった。いるとも思っていなかった。中学生の時(今思うとクワガタブームの初期だった)に手に入れた、そこそこマニアックなクワガタの図鑑には、ネブトはモミの樹液で採れると書いてあった。しかし、近所のポイントにはモミの木なんてなかった。関西では低地の雑木林にモミはない。中部以東の情報をもとに書かれたものだったのだろう。

私が初めてネブトを採ったのは、アラカシに付けられたシロスジカミキリの産卵痕と幼虫が掘り進んでできた傷だった。樹皮がボコボコになっていて、樹液に湿った木くずが出ていた。

ネブトを好きになったのは南西諸島での亜種分化もあった。単純な話だが、いろんな島を渡り歩いて採集する憧れをもった。ヒラタクワガタやノコギリクワガタも同じ理由で好きになった。中学生には到底叶えようのない憧れだったけれど。

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最近、実家の近所を歩いていて、偶然にもネブトクワガタを見つけた。これはクヌギの樹液に来ていた。やっぱり関西ではモミじゃなくてブナ科の樹液に来る。

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京都市ではナラ枯れが深刻化していて、ブナ科の木が枯れたり人為的に切り倒されたりしている。そのせいか、これらの材をホストとする甲虫が目立って増えている。ネブトクワガタは京都市内では分布が非常に局地的だが、いる場所ではやはり沢山の個体が見られる。5月頃、過去にナラ枯れ対策用に切られた不朽木の樹皮を持ち上げると羽化脱出したネブト成虫が見られる。幼虫もいるので発生源になっていることは間違いないと思う。

今もナラ枯れは進行中で、キクイムシの脱出痕からは樹液が出ており、成虫の餌資源も提供しているようである。

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小型個体(京都市産)。小型個体ほど大腮が丸みを帯びる。
by travel-fox | 2012-08-14 11:45 | 京都