オオムラサキの異常発生

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亀岡駅ホームから牛松山方面を望む。

 亀岡駅の裏手は随分と様変わりしていた。写真右に見える道路は最近までなかった。

 約10分で保津峡駅に到着。嵯峨野山陰線で唯一の無人駅。ここに用のない大半の乗客は「寒いのに扉を開けるな」と思っているはず。
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本数は1時間に3本くらい。

 10年前にオオムラサキを採幼した樹まで急ぐ。途中、雪がちらつき始める。
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1枚目からついていた。一安心して追加を探すと…
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いるわいるわ
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どんどん見つかる。最終的には129頭も見つかった。樹の周り全てを調べたわけでなく、一番条件のいい沢に面した側の落ち葉をめくるだけでこのあり様。探せばもっといると思う。直径20センチの程の1本の樹で支えられるのか心配である。
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こんなエノキ。背後は沢になっている。(モノクロではない)

 10年前は苦労して2頭を見つけたにすぎない。卵寄生率の低下とか何かしら変化が起こっているのだろう。それも1つじゃないかもしれない。近年国内のあちこちで(しかも韓国でも)オオムラサキの大発生を耳にする。同じ原因なのだろうか。
 ちなみにゴマダラチョウは10年前とほぼ変わらず3頭という結果。オオムラサキの好む樹はゴマダラも好んで産卵し、普通はオオムラサキの方が少ない。例年だと10対1くらいでゴマダラが多く見つかるのだ。
 落ち葉をめくるだけだから、「中身の見えない袋に入れた玉を取り出すゲーム」のように確率で考えると個体数に比例して見つかるはずである。これだけオオムラサキが多く見つかるのは自然界にそれだけオオムラサキが多いということになる。

 別の樹を探してウロウロ。このほかに2本ほど見つけたことがあるが場所が思いだせず、ユズ園まで来てしまった。そういえば今日は冬至である。
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温かい風呂が恋しくなるような景色だ。
 ここのユズ園は京都市内でいちはやくナガサキアゲハが定着した場所である。私もその情報を聞きつけ90年代の終わりにここに来て蛹を探したことがある。日も暮れかかった頃、ようやく帯糸が切れぶら下がっていた大きな蛹を見つけ大切に持ち帰ったところナガサキの♀が羽化して感激したのを思い出す。その時の標本は蛹殻とともに標本箱に納められている。その後市街地で見られるようになり、今では誰もナガサキ目当てにユズ園に行ったりはしないだろう。
 さらに遡ること10年、亀岡市内でナガサキ♀と遭遇したことがある。1991年の春だったと記憶する。私の目の前に突如鮮やかな蝶が現れた。真っ先に出た感想は「うわ、南国の蝶だ」だった。黒いアゲハでこんな色彩をもつものは近所にいない。図鑑で見たことのあるナガサキアゲハだと思った。しかし正確な分布を知らず「沖縄」にいるものとばかり思っていた。そのくせ変にマニアックな言葉は知っていて「迷蝶だ」と思った。今思えば確かに珍しい記録ではあるが80年代に既に記録が出ているので市内で発生を見る年があったのだろう。舞い上がった私は手にしていたホウキでこのナガサキに襲いかかり、振りまわした一撃が右後翅を根元からもぎ取った。2撃目が当たることなく視界から消えた。この時の翅は残念ながら紛失してしまい、手元にないが、初めてみることも相まって非常に美しく見えていた。近年京都市内で黒っぽいナガサキ♀を見ると、色彩が変わってきているなぁと思うのはこの時の強烈な印象があるからかもしれない。
 いずれにせよ記録というのは大事でオオムラサキの異常発生にしても、ナガサキの分布拡大にしても、きちんと記録が残っているから語れるのである。
 
 ユズ園をすぎ、植林に入る(このあたりはスギ植林ばかり)。そこでエノキの落ち葉を見つけ樹を探し当てた。
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根元にゴミが積んであり、落ち葉が溜まっていない。そのせいかオオムラサキ幼虫は少なくわずかに2頭。それも積まれたアラカシの枯れ枝に付いていた。これでは乾燥してしまうのではないだろうか。
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 続いて見つけた樹は崖の中ほどが無理やり生長した樹でこちらもまともに落ち葉が溜まっていない。それでもオオムラサキ2頭が見つかった。
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by travel-fox | 2012-12-22 07:46 | 京都